18) 幼齢動物の遺伝子栄養学(遺伝子の修復)
The genenutriology for young animals (the repair of genes)

動物病院NORIKO
宮野のり子 花田道子

私は開業して10年ほど過ぎたときに現代西洋医学に非常に疑問を持ち自問自答して悩んでいました。遠い昔、東大外科研究生時代の特別講義の際に「医学の究極の目的は何か?」という点では人間も動物も同じで、世界的でトップの医者が「一生健康のままで終わらせること」、「医学は治すことでなく、病気にさせないことが大切」といった言葉にすごく驚かされたこと、また今は亡き偉大な東大名誉教授の臼井和哉先生にも「これからは、病気にさせない臨床栄養学が基本だよ。」と言われたことを思い出しました。それから予防こそ最良の医療と、ホリステイック栄養学を学び今日に至っています。
まず『動物はなぜ病気になるのか』と全体を見てみるといろいろな原因が考えられます。

1. 体質(遺伝・遺伝子)
2. 環境:自然環境と人為的環境の影響
3. 飼い主との生活習慣の乱れ
4. 食事(食餌)の内容が問題
5. 気の停滞
6. 飼い主の否定的な意識:肉体、精神・感情、霊性のアンバランス
7. 過去のカルマ:スピリッツの受けた障害
動物は親から受け継いだ遺伝子の中にすでにいくかの間違いを持って生まれてきます。その時点でなりやすい病気が決まっていますが、必ずしもその病気になるわけではありません。その後いろいろなことが原因して遺伝子が損傷を受けてそこにさらに間違いが起こって、その結果、病気が進行していきます。従って、持って生まれた遺伝情報を知り、更なる間違いを起こさせる遺伝子を持った細胞を増やさないようにすることが予防につながるのです。

『病気は遺伝子の損傷から始まる』
1. 遺伝子の役割:遺伝子には二つの役割があります。一つは子孫を残す、一つは生命の設計図。
2. 病気が遺伝子から始まる理由:遺伝子が傷つくと本来の設計図にないタンパク質が作られ結果として異常細胞が生じそれが増えて、体を構成するさまざまな器官の機能低下を起こすのです。
3. 何が遺伝子を傷つけるのか:遺伝子の損傷は、活性酸素やそれに由来するフリーラジカル、過酸化脂質などによる酸化ストレスが原因になっています。
4. 予防こそ最良の医療:
@一次予防・・・遺伝子の損傷を未然に防ぐ
A二次予防・・・運悪く遺伝子が傷ついてしまった場合は修繕(修復)を図るか、異常細胞を芽のうちにつみ取ってしまう。
5. 遺伝子損傷は尿検査・血液検査でわかります。:@DNA酸化損傷バイオマーカー(尿中8−OHdG測定)
AHEC血液細胞分析(LBA検査)

『どうして今、遺伝子栄養療法が必要なのか』
 丈夫な肉体を作る基本は栄養素で、これは21世紀の地球上では食材からだけでは摂取することが不可能です。そのために十分な栄養素を得る補助としてサプリメントを用います。遺伝子を強くする栄養療法は体にやさしく、飼い主が簡単に出来き、病気の予防にもなるのです。

『幼齢動物の8大栄養素』
1. たんぱく質:必須アミノ酸 2.炭水化物(糖質と食物繊維) 3.脂質:不飽和脂肪酸の必要性 4.ビタミン 5.ミネラル 6.水 7.核酸 8.食物酵素

これらの栄養素の中でも特により良い遺伝子を作るために、遺伝子を修復するのに必要な7番目の栄養素<核酸>をベースにした栄養療法を幼若期から取り入れることの有用性を感じてきました。具体例をあげて参考資料とさせていただきますと;

1)人工哺乳の際に水溶性核酸をミルクに足すことにより母乳に近い抵抗力がつけられた。
ヒト粉ミルクも近年やっと核酸が入っている。

2)ブリダーのところで断尾時に抗生剤投与後に発熱し,生死をさまよった新生児に水溶性核酸および核酸サプリメントを与えて回復さ せることができた。

3)2ヶ月齢から核酸サプリメントを与えていると小型犬の乳歯(特に犬歯)の残存が少ない。

4)乳幼児の頃から核酸サプリメントを好んでトリーツのように食べていたオスが1歳2ヶ月のときに大学で精子数を計ったところこの年齢のものの平均値の約1.5倍あり、生存率90%以上、奇形率5%以下で,2頭のメスに人工授精したところ、それぞれ4匹と5匹の元気な仔を出産した。

5)2ヶ月齢で購入時から軟便や下痢を繰り返していたものにはじめは水溶性核酸を与え、少し固まった時点で核酸サプリメントに変更、その後は正常便で維持できている。
 
6)最近小型犬で陰睾の子が増えているが生後2−3ヶ月から核酸サプリメントを食べさせると正常の位置に戻る場合が多い。
 
7)2−4ヶ月齢猫の場合、生まれつきコロナウイルス抗体価が高い場合、核酸サプリメントを食べさせ続けると伝染性腹膜炎の発症は防げる。
 
6)幼児期から核酸を食べているものは健康のバロメーターである被毛の艶がよく、皮膚疾患も見られない。
 
8)水槽で業者が熱帯魚を繁殖していたとき何かの感染が起こり次から次に赤ちゃんが死んでいくのをみて水溶性核酸を与えたら、与えた魚は死ななかった。
 
9)ジャンガリアンハムスターのお母さん赤ちゃんを産んでミルクが出なく子供は次から次に死んでいったけど核酸サプリメントを食べさせたらお乳がたくさん出て生き残った子がいた。

以上のことから離乳期から核酸を与えると正常の発育を促すのみならず、感染、腫瘍になりにくい体質に改善できるものと思われ,さらに、妊娠する前から,交配させる前から与えることを勧めることで丈夫で病気にならない犬・猫を世の中に送り出すことが出来ると思っています。