8) 代替医療の臨床応用(核酸、メシマコブ使用例)(学会発表)

日本小動物獣医師会関東獣医師大会(1999/9/23) 宮野のり子

10年前よりメスと薬の西洋医学に疑問をもち、栄養療法に目を向け治療、予防に核酸を中心の健康食品を使用したが、3年前に動物用核酸健康食品のヌクレオエンジェル(以下NAと略す)を改良した。これは、サケの白子エキス、酵母エキスを主成分に、ビタミンA,D,B1,B2,B6,B12,C,ナイアシンアミド、パントテン酸カルシウム、葉酸、カルシウムを含んでいる。このNAを難治性疾患に使用し成果をまとめた。ここ数年、特にアメリカで獣医医療に代替療法が脚光を浴びている。代替とは現代西洋医学以外をいい、中国医学、インド医学、免疫療法、薬効食品、健康食品、ハーブ療法、アロマセラピー、ビタミン療法、食事療法、精神心理療法、温泉療法、酸素療法などが含まれる。

  メシマコブ(以下メシマと略す)は日本原産の薬用きのこで漢方では桑黄(そうおう)と呼ばれる。長崎県男女群島の女島(メシマ) に野生する桑の幹に寄生するきのこであったのでこの名前がついた。使用したメシマは、メシマコブ培養菌糸体の熱水抽出物で韓国では医薬品として制ガン剤で用いている。メシマの作用機序はマクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞などを活性化してサイトカイン産生を高める働きがあるので、免疫機能が高まり抗ガン作用を発揮する。そこでNAを使用している患畜にメシマの併用を試みた。

<方法>NAは、P.E.,C.B.C血清生化学データ、血清抗体値、症状にあわせて1日4〜20粒の目安で与えた。併用例にも平均10〜20粒とメシマを1〜3gを同時に与えた。原則として1日2回にわけて摂取することを飼い主に指示した。

<結果>NA単独摂取では程度の差はあれど臨床症状で60%の改善が見られた。乳がんの肺転移が無くなった症例もみられたし、FIPの抗体値が上昇しても発病しない症例が80%にみられた。

メシマ併用の症例では11例中、5例は悪性腫瘍や肉腫のため死亡、4例は延命し、2例は難治性皮膚病が好転した。

<考察>NA,メシマとも投与量が少ない場合効果は上がらず、患畜の体質、特に免疫活性によってかなり違ってくると思われる。それゆえ、飼い主に対し免疫療法の有用性、栄養療法の重要性を説き、理解を得て協力してもらうのも我々の役目であろう。